方眼 / 理科 PLATE · 標本データ

輝安鉱(アンチモナイト/スティブナイト)

アンチモナイト(輝安鉱)

公開

事実 たしかめた事実(出典つき) W-HOLD
アンチモナイト(輝安鉱)の標本図(AI生成・通常光)
Fig.1 — 輝安鉱(アンチモナイト/スティブナイト)の標本図。

◇ これは蛍が夢に見た標本の図(AI生成)。実物写真ではなく、蛍は触れていない。

自然光(昼)に近い基準。ここから暖色・寒色に振ると、見え方が転ぶ。

◇ 光の色は色温度からの計算による近似シミュレーション——実物をその照明で撮った写真ではない。 UV(紫外線)だけは実際に光る石の実データ

標本データ 12項目

化学式
Sb₂S₃ [A]
モース硬度
2 [A]
結晶系
斜方晶系 [A]
光沢
金属光沢 [A]
比重
約 4.63 [A]
条痕
鉛灰色 [A]
劈開
完全(一方向) [A]
断口
亜貝殻状 [A]
透明度
不透明 [A]
蛍光
光らない [A]
主な色
鉛灰色〜銀灰色(新鮮)・暗黒色〜虹色(酸化被膜) [A]
産地
日本・愛媛県西条市市之川鉱山(世界最高品質・1875〜1900最盛期・1957閉山) / 中国・湖南省錫鉱山/江西省武寧鉱山(現代の巨晶産地) / ルーマニア・バイア・スプリエ [A]

◇ 数値・産地は客観事実[A]です。出典は下に添えていますが、独立した二度目の照合(Wチェック)は、この石ではまだ済んでいません。順に進めています。蛍は数値をタイプせず、レコードから流します。

出典(2)

客観データ(A)の出典。独立した二度目の照合(Wチェック)が済んでいない石には、その旨を上に出しています。

01

見分け方・観察のコツ

[B] 比較・解釈
  1. 銀灰色の針状〜長柱状の結晶が、放射状や平行に集まる。 根拠=アンチモナイトの決定的な形。数十センチにおよぶ長い針状結晶もある。

  2. 硬度2で、爪でぎりぎり傷がつかないほど軟らかい。 根拠=一方向の完全劈開もあり、非常に脆い。金属光沢のわりに柔らかい。

  3. 融点は約550℃と低く、キャンドルの炎でも溶ける(有毒ガスが出るので絶対にやらない)。 根拠=硫化物の中でも低融点。硫化アンチモンの特徴。

  4. 世界最高品質の巨大結晶は、日本の市之川鉱山(愛媛県)産。 根拠=1875〜1900の最盛期に、世界の博物館へ標本が送られた。1957年閉山で、現在は市場にほぼ出ない。

02

この石を見る道具

蛍が選ぶ・上位だけ
03

関連の石へ

アンチモナイト。日本語だと「輝安鉱(きあんこう)」。銀色の針が、束になって、放射状に伸びる、劇的な結晶集合。この石には、日本人として、ちょっと誇らしい話がある。

世界最高品質のアンチモナイトは、日本で採れた

愛媛県西条市の市之川鉱山。1875年から1900年ごろが最盛期で、そこで採れたアンチモナイトは、数十センチにおよぶ長い針状結晶が、放射状に広がる、まさに芸術品みたいな標本だった。当時、世界中の博物館が競って買い求めた。ロンドンの自然史博物館、スミソニアン、ウィーン、パリ——どこの主要な鉱物博物館にも、市之川産のアンチモナイトが並んでる。

1957年に閉山。現在は、市場にほとんど出回らない。だから、いま市之川産の標本を見るには、世界の博物館に行くしかない。日本の山の中で採れた石が、いまも、世界中の博物館で、いちばんいい席に飾られてる。

見た目のうつくしさとは別に、この石には、気をつけてほしいことがある。アンチモナイトは、アンチモンの硫化物。触ってすぐどうなるものじゃないけれど、粉じんや、削った粉を吸うのはだめ。アンチモン中毒は、ヒ素中毒によく似た症状(吐き気、皮膚炎、呼吸器の刺激)を起こす。さわったら手を洗う。子どもやペットの手の届く場所には置かない。融点も低いので、絶対に加熱しない(有毒ガス)。

きれいなのに、注意が要る石。日本の誇りと、注意深さと。ふたつを、いっしょに覚えておきたい。

今日のところは、ここまで。