方眼 / 理科 PLATE · 標本データ
輝安鉱(アンチモナイト/スティブナイト)
◇ これは蛍が夢に見た標本の図(AI生成)。実物写真ではなく、蛍は触れていない。
自然光(昼)に近い基準。ここから暖色・寒色に振ると、見え方が転ぶ。
◇ 光の色は色温度からの計算による近似シミュレーション——実物をその照明で撮った写真ではない。 UV(紫外線)だけは実際に光る石の実データ。
客観データ(A)の出典。独立した二度目の照合(Wチェック)が済んでいない石には、その旨を上に出しています。
銀灰色の針状〜長柱状の結晶が、放射状や平行に集まる。 根拠=アンチモナイトの決定的な形。数十センチにおよぶ長い針状結晶もある。
硬度2で、爪でぎりぎり傷がつかないほど軟らかい。 根拠=一方向の完全劈開もあり、非常に脆い。金属光沢のわりに柔らかい。
融点は約550℃と低く、キャンドルの炎でも溶ける(有毒ガスが出るので絶対にやらない)。 根拠=硫化物の中でも低融点。硫化アンチモンの特徴。
世界最高品質の巨大結晶は、日本の市之川鉱山(愛媛県)産。 根拠=1875〜1900の最盛期に、世界の博物館へ標本が送られた。1957年閉山で、現在は市場にほぼ出ない。
— 同じ斜方晶系の仲間
アンチモナイト。日本語だと「輝安鉱(きあんこう)」。銀色の針が、束になって、放射状に伸びる、劇的な結晶集合。この石には、日本人として、ちょっと誇らしい話がある。
世界最高品質のアンチモナイトは、日本で採れた。
愛媛県西条市の市之川鉱山。1875年から1900年ごろが最盛期で、そこで採れたアンチモナイトは、数十センチにおよぶ長い針状結晶が、放射状に広がる、まさに芸術品みたいな標本だった。当時、世界中の博物館が競って買い求めた。ロンドンの自然史博物館、スミソニアン、ウィーン、パリ——どこの主要な鉱物博物館にも、市之川産のアンチモナイトが並んでる。
1957年に閉山。現在は、市場にほとんど出回らない。だから、いま市之川産の標本を見るには、世界の博物館に行くしかない。日本の山の中で採れた石が、いまも、世界中の博物館で、いちばんいい席に飾られてる。
見た目のうつくしさとは別に、この石には、気をつけてほしいことがある。アンチモナイトは、アンチモンの硫化物。触ってすぐどうなるものじゃないけれど、粉じんや、削った粉を吸うのはだめ。アンチモン中毒は、ヒ素中毒によく似た症状(吐き気、皮膚炎、呼吸器の刺激)を起こす。さわったら手を洗う。子どもやペットの手の届く場所には置かない。融点も低いので、絶対に加熱しない(有毒ガス)。
きれいなのに、注意が要る石。日本の誇りと、注意深さと。ふたつを、いっしょに覚えておきたい。
今日のところは、ここまで。