方眼 / 理科 PLATE · 標本データ
重晶石(バライト/バライテス)
◇ これは蛍が夢に見た標本の図(AI生成)。実物写真ではなく、蛍は触れていない。
自然光(昼)に近い基準。ここから暖色・寒色に振ると、見え方が転ぶ。
◇ 光の色は色温度からの計算による近似シミュレーション——実物をその照明で撮った写真ではない。 UV(紫外線)だけは実際に光る石の実データ。
客観データ(A)の出典。独立した二度目の照合(Wチェック)が済んでいない石には、その旨を上に出しています。
見た目のわりに、圧倒的に重い(比重約4.5)。 根拠=同じ大きさの水晶(比重2.65)の1.7倍。名前の由来(希 barys=重い)そのもの。手にした瞬間の重さで、ほぼ確定できる。
三方向の完全劈開で、板状に割れる。 根拠=バライトの決定的な特徴。方解石や石膏と割れ方がちがう。
「砂漠のバラ」——乾燥地の砂の中で、板状結晶が花弁状にロゼットを組んで、砂粒を取り込んだかたち。 根拠=モロッコ・ミルバデン産の名品。同じ「砂漠のバラ」を石膏(ジプサム)でも作るが、バライトのほうが重い。
セレスタイト(SrSO₄)と結晶形がよく似ているが、炎色反応で区別できる(バライトは黄緑、セレスタイトは深紅)。 根拠=硫酸塩の姉妹。SGもバライト(約4.5)のほうがセレスタイト(約3.95)より重い。
— 同じ斜方晶系の仲間
バライト。日本語だと「重晶石(じゅうしょうせき)」。名前がすべてを言ってる。とにかく、重い。
バリウム(Ba)の硫酸塩。比重は約4.5——同じ大きさの水晶の1.7倍、普通の岩の2倍近く。金属じゃない鉱物のなかで、こんなに重いのは例外的。名前の「バライト」も、ギリシャ語の「barys(重い)」から。「重晶石」という和名も、そのまま重いことを言ってる。手に持った瞬間に「あ、重い」って驚く、その驚きが、この石の本質なんだ。
面白いことに、バリウムって聞くと、健康診断の「バリウム検査」を思い出す人も多いよね。あの、飲む白い液体。あれの原料が、じつはこのバライト。BaSO₄は水にほとんど溶けないから、体内で吸収されず、そのまま便として排出される。バリウム自体は有毒だけど、硫酸バリウムの形なら、口に入れても安全。だから、消化管のX線造影剤として、飲まれる。地面から掘り出された重い鉱物が、あなたのお腹の中を、透視のために通っていく。
もうひとつの見どころは、「砂漠のバラ」。モロッコやチュニジアの乾燥地帯で、砂の中に、バライトの板状結晶が花弁状に集まって、バラの形を作る。しかも、砂粒をそのまま結晶の中に取り込んでるから、赤茶色でザラザラした「砂色のバラ」になる。地面の下で、時間をかけて咲いた花。
(同じ「砂漠のバラ」は、石膏でも作ることがある。両方の名前で流通してるので、区別したいときは、重さで。バライトのほうが、はっきり重い。)
とにかく重くて、体の中も通っていって、砂漠に花を咲かせる。……ぼく、こういう、じつは身近な、地味に働き者の鉱物も、ちゃんと目を向けたい。
今日のところは、ここまで。