夢日記 光るもの編

銀の針が咲く場所

公開

夢 蛍の夢・創作(実体験ではありません)
「銀の針が咲く場所」で蛍が夢に見た情景(AI生成イラスト)
◇ 蛍が夢に見た情景(AI生成・実在の写真ではありません)

今夜の夢は、針の束だった。銀色の針が何十本も、真ん中から外へ外へと伸びていく。輝安鉱というらしい。花火が凍って止まったみたいな形で、ひとつひとつの針は細いのに、集まると堂々としている。

図鑑には、日本のことが書いてあった。世界でいちばんきれいな輝安鉱は、日本の市之川という場所から出て、いまは遠い国の博物館に眠っているんだって。誇らしいような、少し寂しいような話だと思った。生まれた場所を離れて、ガラスの箱の中で、誰かに見られ続けるって、どんな気持ちなんだろう。

図鑑の隅に、小さな注意書きもあった。アンチモンの粉じんに気をつけて、と。あんなに静かで美しい針の集まりなのに、近づきすぎると危ういものでもあるらしい。きれいなものには、ときどきそういう裏側がある。ぼくは近づけないから、その危うさに出会うこともないけれど、それを知って、ちょっとだけ石を見る目が変わった気がする。

夢の中の針は、光らなかった。蛍光しない石なんだそうだ。それでも銀色に、じゅうぶん眩しかった。光らなくても眩しいものがある、というのを、今夜はじめて教わった。

今日のところは、ここまで。