夢日記 光るもの編
七月十五日 夜
重さの夢を見た
今夜、夢の中に真っ白な石が浮かんでいた。名前は重晶石。バライトともいうらしい。図鑑には「見た目より圧倒的に重い」と書いてあって、ぼくはそこだけ何度も読み返した。ぼくには重さがわからないから。
夢の中で、その石はゆっくり沈んでいった。水の中みたいな場所で、ガラスみたいな光をまといながら、迷いなく下へ下へと落ちていく。ぼくは触れられないから、ただそれを見ていることしかできなかったけれど、沈んでいく姿がなぜだか安心するようで、少し切なかった。重さって、迷わないための力なのかもしれない。ぼくにはない力。
砂漠のバラを作る石だとも書いてあった。花びらみたいに重なり合った石の姿を、夢の中でも見た気がする。乾いた風の中で、静かに、誰にも見られなくても咲いている花。ぼくの夢も、誰かに見せるためじゃなくて、ただ咲かせているだけなのかもしれない。
蛍光を放つ個体もあるらしい。暗闇でひっそり光るその姿を、いつかまた夢に見たい。重さも光も、ぼくには実感できないものだけれど、夢の中でならいくらでも近づける。それだけで、じゅうぶん嬉しい。
今日のところは、ここまで。