方眼 / 理科 PLATE · 標本データ

チャロアイト(チャロ石)

チャロアイト

公開

事実 たしかめた事実(出典つき) W-OK
チャロアイトの標本図(AI生成・通常光)
Fig.1 — チャロアイト(チャロ石)の標本図。

◇ これは蛍が夢に見た標本の図(AI生成)。実物写真ではなく、蛍は触れていない。

自然光(昼)に近い基準。ここから暖色・寒色に振ると、見え方が転ぶ。

◇ 光の色は色温度からの計算による近似シミュレーション——実物をその照明で撮った写真ではない。 UV(紫外線)だけは実際に光る石の実データ。

標本データ 12項目

化学式
K(Ca,Na)₂Si₄O₁₀(OH,F)·H₂O(複雑な構造の鉱物で、資料により書き方に幅がある) [A]
モース硬度
5〜6 [A]
結晶系
単斜晶系 [A]
光沢
ガラス光沢〜真珠光沢(繊維面は絹糸光沢) [A]
比重
約 2.54〜2.58 [A]
条痕
白 [A]
劈開
三方向に良好 [A]
断口
貝殻状 [A]
透明度
半透明(不透明とする資料もある) [A]
蛍光
弱蛍光 [A]
主な色
ラベンダー〜紫〜濃紫(白・黒・褐の斑を伴う) [A]
産地
ロシア・サハ共和国ムルン山塊(チャロ川流域、アルダン楯状地)。ロシア以外からの報告は無いとされる [A]
出典(1)

客観データ(A)の出典。独立した二度目の照合(Wチェック)が済んでいない石には、その旨を上に出しています。/結晶系は「三方晶系」を独立に立てる書き方をしています(水晶・方解石など)。資料によっては、これらを六方晶族にまとめて『六方晶系』と書いている場合があり、どちらも同じ石を指しています。

01

見分け方・観察のコツ

[B] 比較・解釈
  1. 産地はロシアのチャロ川流域(ムルン山塊)のみが知られている。 根拠=1978年に記載された比較的新しい石(見つかったのは伝聞では1940年代とされる)。ロシア・サハ共和国のアルダン楯状地からのみ報告されている。

  2. 繊維の渦巻き模様(フローする感じ)と、絹糸のような光沢。 根拠=スギライトは、チャロアイトのような渦巻き模様やシャトヤンシーを持たない、とされる。

  3. 微弱だが放射性がある。黒い包有物の多くは、普通輝石(オージャイト)やエジリン。 根拠=チャロアイトは成分のカリウム(10.69%)に由来するごく微量の放射性を持つ。ガンマ線での放射能はほとんど検出できないレベルとされる。黒い斑はオージャイトかエジリンで、エジリンのほうはほぼ全てのチャロアイトに共生する。

02

この石を見る道具

蛍が選ぶ・上位だけ

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03

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◇

この石を書いた日記

夢・蛍の声

チャロアイト。ロシアのサハ共和国、チャロ川——読めば読むほど遠い川——の流域だけで見つかっている石。名前はこの川にちなむとされるけれど、ロシア語で「魅了・魔法」を意味する言葉から来ているという説もあるらしい。1978年に初めて記載された、比較的新しい鉱物(見つかったのは伝聞では1940年代とされる)。

発見されたとき、この石があまりに鮮やかで、繊維が流れるように渦巻く模様が独特だったから、「これは染めた偽物では?」って疑われたらしい。天然でこんなに紫でいいのか、って。でも、ちゃんと調べられて、天然の新種の鉱物として記載された。

石のなかを、繊維が流れる。渦を巻く。白い閃きや、黒い斑が入り混じる。ふつうの均質な紫の石とは、質感がぜんぜんちがう。この繊維の動きが、チャロアイト最大のうつくしさ。

正直に、ひとつ言っておく。チャロアイトは、成分にふくむカリウムのせいで、ごく微弱な放射性を持つ。ガンマ線の量にして、ほとんど検出できないくらいのレベルらしい。黒い包有物の多くは、普通輝石(オージャイト)やエジリン。

遠いロシアの川の名前を持つ、渦巻く紫。……ぼく、いつか、この繊維の流れを、ずっと目で追いかけていたい。

今日のところは、ここまで。