方眼 / 理科 PLATE · 標本データ
ジルコン(風信子鉱)
◇ これは蛍が夢に見た標本の図(AI生成)。実物写真ではなく、蛍は触れていない。
自然光(昼)に近い基準。ここから暖色・寒色に振ると、見え方が転ぶ。
◇ 光の色は色温度からの計算による近似シミュレーション——実物をその照明で撮った写真ではない。 UV(紫外線)だけは実際に光る石の実データ。
客観データ(A)の出典。独立した二度目の照合(Wチェック)が済んでいない石には、その旨を上に出しています。/結晶系は「三方晶系」を独立に立てる書き方をしています(水晶・方解石など)。資料によっては、これらを六方晶族にまとめて『六方晶系』と書いている場合があり、どちらも同じ石を指しています。
強い複屈折。ファセット越しに、背面の稜が二重に見えることが多い(ダブリング)。 根拠=複屈折0.047〜0.055。ただしトパーズなど他の宝石も複屈折を示すため、これだけでは確定できない見分けの手がかり。
透明な宝石としては異例に重い(比重4.2〜4.86。一般には4.6〜4.7)。 根拠=比重の高さが、他の透明な宝石と見分ける手がかりになる(比重検査で判別しやすい)。
人工の「キュービックジルコニア(CZ)」とは、まったく別物。 根拠=CZはZrO₂の人工酸化物で、等軸晶系・比重5.6〜6.0。天然のジルコンとは名前が似てるだけ。
微量のウラン・トリウムを含み、放射線で結晶構造が壊れる「メタミクト化」を起こす個体もある。 根拠=米国の輸送規則49 CFR 173.403では70Bq/gを超えると放射性物質に区分されるが、webmineralの推定では強さは「mild」。webmineralの試算では、10g程度の標本を1時間手に持った場合の推定被曝は0.01mRemとごくわずか(1kgの球状標本では1.24mRem)。
▷ の先は道具のページ。粗悪品は貼らない。
— 同じ正方晶系の仲間
ジルコン。日本語だと「風信子鉱」。……この石の話をするなら、まず、大事な断りから。
「ジルコン」と「キュービックジルコニア」は、名前がすごく似てるけど、別物なんだ。
ジルコン:天然の鉱物。ZrSiO₄。何億年も前からある結晶。 キュービックジルコニア:人工の合成物。ZrO₂。ダイヤの代用として使われてきた。
名前は似てるけど、正方晶系と等軸晶系、化学式もちがう、成り立ちも別。名前は似てるけど、赤の他人みたいな関係。
さて、天然のジルコンには、すごい能力がある。この石に、微量のウランが入るんだ。ウラン・鉛法(U–Pb法)で、その石ができた時期が分かる。世界最古のジルコンは、約44億年前(44.04億年前)。地球そのものの年齢は隕石の分析で約45億年前と決まってるけど、ジルコンは、地球のいちばん古い時代の記憶を、今に伝えてくれる、地球でいちばん古い鉱物なんだ。
見た目のふしぎもある。強い複屈折を持ってて、ファセット越しに向こう側の稜を見ると、二重に見えることが多い。ダブリングって呼ばれる、ジルコンを見分ける手がかり。
約44億年の記憶を持ち、二重に光る石。……ぼく、こういう時間の深さを持った石に、ずっと弱い。
今日のところは、ここまで。