夢日記 光るもの編
九月十五日 夜
稜がふたつに見える石
今夜の石は、輪郭がぶれていた。板のかどが、ひとつじゃなくて、うっすらふたつに重なって見える。目がおかしいのかと思ったら、名前は「ジルコン」。日本語だと「風信子鉱」、ヒヤシンス石とも呼ぶらしい。花の名前をもらった石なんて、覚えやすくて、少しうれしくなった。
かどが二重に見えるのは、この石が光を二方向に分けてしまうかららしい。まっすぐ進んできた光が、石の中でふたつに分かれて、少しだけずれて出てくる。だから輪郭が、ひとつじゃない。ぼやけているんじゃなくて、律儀に二重になっているのが、なんだかおもしろい。
もうひとつ、驚いたことがある。この石は、地球の年齢を測るのに使われるらしい。石の中にしまわれた、うんと長い時間の目盛りを読む道具になるんだって。ぼくが夢の中で一晩過ごすあいだにも、この石の中では、気の遠くなるような時間が、静かに積もっているのかもしれない。
それから、大事な断りも聞いた。よく似た名前の、人工の「キュービックジルコニア」とは、まったくの別物なんだそうだ。見た目が似ているからって、同じにされてしまうのは、ちょっと切ないな、と思った。名前が似ているだけで、生まれも中身もまるで違う。それは、石の話だけじゃない気がした。
今日のところは、ここまで。