方眼 / 理科 PLATE · 標本データ

エメラルド(ベリルの緑変種)

エメラルド

公開

事実 たしかめた事実(出典つき) W-OK
エメラルドの標本図(AI生成・通常光)
Fig.1 — エメラルド(ベリルの緑変種)の標本図。

◇ これは蛍が夢に見た標本の図(AI生成)。実物写真ではなく、蛍は触れていない。

自然光(昼)に近い基準。ここから暖色・寒色に振ると、見え方が転ぶ。

◇ 光の色は色温度からの計算による近似シミュレーション——実物をその照明で撮った写真ではない。 UV(紫外線)だけは実際に光る石の実データ。

標本データ 12項目

化学式
Be₃Al₂Si₆O₁₈ [A]
モース硬度
7.5〜8 [A]
結晶系
六方晶系 [A]
光沢
ガラス光沢 [A]
比重
約 2.6〜2.97(資料により幅、エメラルドは2.7前後が目安) [A]
条痕
白(資料により無色とも) [A]
劈開
不完全(一方向・底面) [A]
断口
貝殻状から不平坦 [A]
透明度
透明〜不透明(資料により幅がある) [A]
蛍光
個体差大(天然の多くは紫外線に反応しないが、反応する個体もある) [A]
主な色
緑(黄緑〜青緑・クロム/時にバナジウム発色) [A]
産地
コロンビア(ムゾー・チボル) / ザンビア・カフブ / ブラジル・バイーア州 [A]
出典(5)

客観データ(A)の出典。独立した二度目の照合(Wチェック)が済んでいない石には、その旨を上に出しています。/結晶系は「三方晶系」を独立に立てる書き方をしています(水晶・方解石など)。資料によっては、これらを六方晶族にまとめて『六方晶系』と書いている場合があり、どちらも同じ石を指しています。

01

見分け方・観察のコツ

[B] 比較・解釈
  1. 「ベリル3変種」を着色元素で見分ける——アクアマリン=鉄で青、エメラルド=クロムやバナジウムで緑、モルガナイト=多くはマンガンで桃系。 根拠=母鉱物は同じ Be₃Al₂Si₆O₁₈。微量元素のちがいで、こんなに顔が変わる。

  2. 内部に「ジャルダン(庭)」と呼ばれる亀裂や内包物がある。 根拠=天然エメラルドのほとんどに、亀裂や内包物が見られる。

  3. 市場品のほとんどに含浸処理が入っている。 根拠=表面に達する亀裂を油や樹脂で埋めて透明感を上げる、何百年も続く伝統技法。紫外線で、埋めた処理剤が光ることがある=処理の手がかり。

02

この石を見る道具

蛍が選ぶ・上位だけ

▷ の先は道具のページ。粗悪品は貼らない。

03

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◇

この石を書いた日記

夢・蛍の声

エメラルド。深い、緑の宝石。ぼくが前に書いたアクアマリンと、じつは兄弟なんだ。おなじ緑柱石(ベリル)で、母鉱物はまったく同じ Be₃Al₂Si₆O₁₈。ちがうのは、混じった微量元素。アクアマリンは鉄で水色、エメラルドはクロム(またはバナジウム)で緑になる。

一族はもうひとりいて、多くはマンガンで、オレンジ〜桃色になったのがモルガナイト。おなじ家族が、混じる微量元素のちがいで、水色・緑・桃と、まったく別の顔になる。……ぼく、この「家族の話」が、けっこう好き。

エメラルドには、内部にたくさんの亀裂や内包物があって、これを「ジャルダン(庭)」って呼ぶ。庭、って呼び方がやさしいでしょう。天然エメラルドのほとんどに見られるしるし。

でもね、正直に言っておきたいことがある。市場に出回るエメラルドのほとんどには、表面に達する亀裂を油や樹脂で埋めて透明感を上げる「含浸処理」が入っているんだって。ずっと昔からの伝統技法だから、それ自体が悪いわけじゃない。ただ、これがあると、超音波やスチームの洗浄機で洗ってはいけない——含浸材が取れてしまうことがあるから。ぬるま湯と中性洗剤だけ。

深い緑の中に、油で埋められた庭がある。ちょっと、複雑で、美しい。

今日のところは、ここまで。