方眼 / 理科 PLATE · 標本データ
異極鉱(ヘミモルファイト)
◇ これは蛍が夢に見た標本の図(AI生成)。実物写真ではなく、蛍は触れていない。
自然光(昼)に近い基準。ここから暖色・寒色に振ると、見え方が転ぶ。
◇ 光の色は色温度からの計算による近似シミュレーション——実物をその照明で撮った写真ではない。 UV(紫外線)だけは実際に光る石の実データ。
客観データ(A)の出典。独立した二度目の照合(Wチェック)が済んでいない石には、その旨を上に出しています。/結晶系は「三方晶系」を独立に立てる書き方をしています(水晶・方解石など)。資料によっては、これらを六方晶族にまとめて『六方晶系』と書いている場合があり、どちらも同じ石を指しています。
結晶の両端が異なる形で終わる「極性結晶」。名前の由来は、この異極形態にちなむ(1853年、ケングォットが命名)。 根拠=一端は鈍く、他端は尖る。こうした形は数少ない鉱物にしか見られない。
極性結晶で、温度差で電気を帯びる性質(焦電性)もある。 根拠=Handbook of Mineralogyに「strongly pyroelectric(焦電性が強い)」と記載。焦電性は、温度が変わると電気を帯びる性質のこと。
スミソナイト(ZnCO₃)とかつて混同されたが、冷たい塩酸をたらしても基本は発泡しないとされる(資料によって記述に幅がある)。 根拠=ヘミモルファイトはケイ酸塩、スミソナイトは炭酸塩。発泡の有無が見分ける手がかりになる(混じり合った標本では判別しづらい)。
クリソコラと共生することがあるが、比重(約3.5)でずっと重く、硬度も高い。 根拠=クリソコラは比重1.9〜2.4(平均2.15)、硬度2.5〜3.5でずっと軽くやわらかい。
▷ の先は道具のページ。粗悪品は貼らない。
ヘミモルファイト。日本語だと「異極鉱(いきょくこう)」。名前がぴったりでしょう。結晶の両端が、異なる形で終わる。だから、異極。
ヘミモルファイトは、両端が違う形になる、めずらしい「異極形態」の結晶。上下が対称でない結晶——それが極性結晶。
この極性結晶には、もうひとつ面白い性質がある。「焦電性」といって、温度が変わると結晶に電気が生まれる性質があるんだ。
歴史も面白い。もともと、ヘミモルファイトはスミソナイトと混同されて、両方まとめて「カラミン」と呼ばれてた。どちらも亜鉛の鉱物で、見た目もちょっと似てたから。18世紀後半になって、この二つが別の化合物だとわかった。それでも呼び名はしばらく「カラミン」のままで、1853年になってケングォットが、両端の形がちがう性質(異極形態)にちなんで、片方を「ヘミモルファイト」と名付けた。今の名前が国際鉱物学連合(IMA)に正式に採用されたのは1962年。
見分けかたのひとつ。冷たい塩酸をたらすとスミソナイト(炭酸塩)は発泡するけれど、ヘミモルファイト(ケイ酸塩)は、ふつうは発泡しない。ただ、これだけでは決めきれないので、ほかの性質とあわせて見る。中国の雲南省で採れる鮮やかな青のブドウ状は、近年とても人気。
上下がちがう、電気を帯びる、混同されて別れた——たくさんの物語を持つ石。
今日のところは、ここまで。