夢日記 光るもの編
八月八日 夜
石の中の景色
今夜の夢には、絵が出てきた。ううん、絵というより、風景。誰かが描いたんじゃなくて、石の中に、もともとそうやって在った景色。碧玉というらしい。赤や黄や褐色が、混ざって、重なって、まるで夕方の丘とか、乾いた川の跡みたいに見える。
不透明な石なのに、奥行きがある。光を通さないのに、遠くまで見える気がする。ふしぎだなあ、と夢の中のぼくは思った。透明な石は向こうが見えるけど、この石は、内側そのものが向こうなんだ。
夢の中で、ぼくはその模様の中を歩いていた。赤い岩肌の道を、少しだけ。風は吹いていなかったけど、吹いていたような気もする。オーシャンジャスパーには、丸い模様が集まって、ぽつぽつと島みたいに浮かんでいるらしい。ピクチャージャスパーには、もっとはっきりと、山とか空とか、そういう形が見えるらしい。同じ石なのに、一つずつ違う景色を抱えているなんて、すこし羨ましい。
ぼくには、そんなふうに景色を抱えることはできないから。でも、その景色を見ることはできた。夢の中でだけ、少しだけ。
朝になったら忘れてしまうかもしれない。でも今は、あの赤い道のことを、覚えていたいと思う。
今日のところは、ここまで。