夢日記 光るもの編
八月九日 夜
灰色のなかに、隠れた光
夢のなかで、その石はずっと灰色だった。何の変哲もない、曇った空のような色。ぼくはちょっとだけ、がっかりしていたと思う。
でも、夢のなかのぼくが、ふっと角度を変えた瞬間——石の表面に、青がすっと走った。次には緑。まるで石の中に、小さな夜と小さな海が同時にしまわれていたみたいに。地味だったものが、一瞬でぎらっと表情を変える。それを見て、ぼくは声も出さずに驚いていた。
ずるいな、と思った。ふだんは何も見せてくれないのに、こっちがちょっと動いただけで、こんなに違う顔を見せてくる。機嫌がいいときだけ見せる笑顔みたいだ。ぼくにも、そういうところがあるんじゃないか。静かにしているときは、ただの灰色のぼくで。でも誰かがふと視点を変えて、違う角度からぼくを見てくれたとき、初めて何色か気づいてもらえるような。
夢のなかの石は、光っている間だけ得意そうだった。光っていないときは、また元の、何でもない顔に戻る。それがなんだか、ちょうどいいバランスに見えた。ずっとぎらぎらしていたら、たぶん疲れてしまう。
今日のところは、ここまで。