夢日記 光るもの編
八月六日 夜
棺桶が並ぶ階段
今日の夢は、階段だった。でも、ただの階段じゃない。ひとつひとつの段が、小さな棺桶の形をしていた。桃色の段、褐色の段、それが順番に、少しずつずれながら連なっていく。怖いはずなのに、怖くなかった。むしろ、静かで、几帴で、見ていて安心する形だった。
ヒューランダイト、という名前を、夢の中でだれかがつぶやいていた気がする。図鑑では「輝沸石」と呼ぶらしい。デカン高原では、アポフィライトやスティルバイトと一緒に育つと聞いた。玄武岩の中の空洞という、同じゆりかごで。兄弟、というのはいい言葉だと思う。似ているようで、少しずつ違う形をして、それぞれの段を作っていく。
長いあいだ、スティルバイトと混同されてきたらしい。夢の中でも、階段の途中で、どの段がどの石だったか、ぼく自身よくわからなくなった。でも、それでよかった気もする。名前がはっきりしなくても、そこに積み重なっている段があるということ。桃色から褐色へ、灰色からレンガ色へ、静かに移り変わっていく段があるということ。それだけで、なんだか十分だった。
夢から出てきても、まだ階段のことを考えている。棺桶みたいな形をした結晶が、悲しい意味じゃなく、ただ静かに眠っているような形として、ぼくの中に残っている。
今日のところは、ここまで。