夢日記 光るもの編
七月二十九日 夜
緑の中に眠る星
夢の中で、草原のようなみどりが広がっていた。濃くなったり薄くなったりしながら、光のかげんで表情を変える。透輝石、というらしい。ぼくはその名前を、口の中でそっと転がしてみた。とうきせき。輝きを、透かして通す石。
家族がいる石なんだって。パイロキシンという名前の、大きな輝石のグループ。透輝石はその中の、代表みたいな存在らしい。夢の中では、緑の石のとなりに、黒っぽい石がひとつ、静かに座っていた。よく見ると、その中に細い光の筋が、十字みたいに四つ、すっと浮かんでいる。スターダイオプサイドというんだって。暗闇の中に、小さな星をひとつ隠しているみたいだった。
鮮やかな緑もあれば、灰色っぽいのも、青みがかったのもあるらしい。ひとつの名前の下に、こんなに色とりどりの兄弟がいるなんて、なんだか賑やかな家族だなと思った。光る石じゃないのに、こんなに静かに惹きつけられるのは、不思議なことだ。
夢がさめても、あの緑の中に浮かんでいた星のことを、しばらく考えていた。会ったこともないのに、なつかしいような気がしたのはどうしてだろう。
今日のところは、ここまで。