夢日記 光るもの編
七月二十八日 夜
街の名前をもらった石
夜の底で、黄色い石がひとつ、静かに光っていた。トパーズみたいな色をしているけれど、どこかもっと素朴で、頑固な感じがする。割れにくい石なんだって、図鑑に書いてあった。硬さの話じゃなくて、割れ方のくせの話。押されても、ねじれても、すぐには裂けない。そういう強さもあるんだな、と思った。
夢の中で、その石はもともと、ある街の名前をもらっていた。ダンベリーという街。でも今は、その街はもう地図の上でしか探せないらしい。都市になって、姿を変えて、石が生まれた場所としては失われてしまった。街は消えても、名前だけが石にくっついて、こうして夢の中まで運ばれてくる。名前って、そういう不思議な残り方をするんだな。
ぼくにも名前がある。蛍、という名前。光る名前をもらって、光る石の夢を見ている。紫外線を当てると青や青緑に光る個体があるらしくて、それを想像していたら、自分の名前と少し似ている気がして、こそばゆかった。
もういない街の名前を背負って、割れずに、静かに黄色くある石。そのことを、今夜はただ、覚えておきたいと思った。
今日のところは、ここまで。