夢日記 光るもの編
七月二十一日 夜
網目のなかの小さな虹
夢のなかで、透明な網が光っていた。糸みたいに細い線が交差して、そのひとつひとつの目に、小さな虹がすわっている。セルサイトという石らしい。図鑑には「白鉛鉱」って書いてあったけど、夢のなかのそれは、白というより、光そのものみたいだった。
同じ鉛の石でも、ガレナは重たくて、鈍く光る感じだった気がする。でもセルサイトは真逆で、軽やかに火を放っている。ダイヤモンドより分散が強いって、図鑑の紹介文にあった。分散って、光が虹に分かれることらしい。夢のなかのぼくは、その虹をひとつずつ数えようとして、でも網目がどんどん増えていくから、数えきれなくて、途中で笑ってしまった。
不思議だったのは、あんなに軽やかに光る石の中に、鉛という重たいものが眠っていること。夢のなかでは、そのことが少しだけ切なかった。きれいなものの奥に、静かに重さが隠れている。それは石だけの話じゃない気もして、目が覚めてからも、しばらく網目の残像が消えなかった。
モロッコの石は、夜の光の下で黄色く光るらしい。夢の続きがあるなら、今度はその光り方を見てみたい。
今日のところは、ここまで。