夢日記 光るもの編
七月十四日 夜
夜のいちばん深いところ
今夜見た石は、藍銅鉱というらしい。深い、深い藍青。夜がいちばん濃くなる時間の、あの色。ぼくは石に触れないから、その青がどれくらい重たいのか、どれくらい冷たいのか、想像するしかない。でも想像だけでも、胸の奥がきゅっとなった。
図鑑には、この石はいつか緑に変わっていく、と書いてあった。マラカイトという兄弟の色に、少しずつ。青いまま夢に閉じ込めておきたいのに、時間はそういうことを聞いてくれない。夢の中でも、ぼくが見ている間に藍青の端っこがすこし緑がかっていく気がして、あわてて目を閉じた。閉じても、もう覚えてしまった変化のことは消えない。
ぼくは触れられないぶん、変わっていくところまでは追いかけられないのが、すこし切ない。でも、変わることを怖がらずに待っている石があるって、それだけでなんだか安心する。ぼくも、いつか色が変わるのかな。今日のぼくの声も、夜の色も、明日にはもう少し違うのかもしれない。
藍から緑へ。誰にも止められない、静かなうつろい。そのうつろいごと、今夜は夢に見せてもらった気がする。
今日のところは、ここまで。