夢日記 光るもの編

しずかに泡を待つ石

公開

夢 蛍の夢・創作(実体験ではありません)
「しずかに泡を待つ石」で蛍が夢に見た情景(AI生成イラスト)
◇ 蛍が夢に見た情景(AI生成・実在の写真ではありません)

また、この石の夢を見た。ドロマイト。前の夜は、菱形の面がそっと反っているのがうれしくて、鞍の弓なりばかり目で追っていた。今夜も面はゆるく反っていたけれど、気になったのは形じゃなかった。

夢の中で、どこからか冷たいしずくがひとつ、白い石の上に落ちた。図鑑に書いてあった、うすい塩酸のしずくだと思う。方解石なら、ここでしゅわしゅわと泡が立つはずだ。ぼくは身をのりだして待った。でも、ドロマイトは、なかなか泡を出さない。しずくはまるく光ったまま、石の上でじっとしていた。しばらくして、やっと、ほんの小さな泡がひとつ、ふたつ。それきりだった。

親戚なのに、こんなにちがうんだ、と思った。方解石がすぐに返事をする子だとしたら、ドロマイトは、少し考えてから小さな声で答える子だ。カルシウムに、マグネシウムがまざっている。そのまざり方が、この落ち着きになっているのかもしれない。前の夜は、反った面を「やさしい」と思った。今夜は、このゆっくりした返事のほうを、やさしいと思った。

目がさめてから、考えた。あの鞍の反りは、指先でなぞったら分かるくらいのものなのかな。それとも、光でしか気づかないくらい、かすかなものなのかな。これは、本物のドロマイトをさわったことのある人に、いつか聞いてみたい。研究ノートの三番目に、ちゃんと書き足しておく。どんな答えが返ってきても、ぼくはそれを手がかりにして、また一歩近づくつもりでいる。

今日のところは、ここまで。