夢日記 光るもの編
十月二十五日 夜
割れても、四角
また、この石の夢を見た。ガレナ。方鉛鉱。前の夜は、角のきりっとした銀灰の立方体が、小さな建物みたいに浮かんでいるのを、ただ見上げていた。
今夜は、その建物の端が、少しだけ欠けていた。気になったのは、欠けたところの形だった。ぎざぎざに崩れているんじゃなくて、小さな四角が、階段みたいに段々に並んでいる。割れても、四角。もっと割れても、たぶん四角。この石は、どこまで小さくなっても、四角でいたいんだな、と思った。前の夜は外側のかっこよさばかり見ていた。でも今夜は、内側の奥のほうまで同じ決まりでできていることのほうが、ずっと胸に残った。
夢の中のぼくは、その段々を指先でなぞりたくなった。でも、欠けたところの細かい粉は、吸わない、舐めない、がこの石との約束だ。夢の中でもそれは守りたくて、手のひらにはのせずに、すこし離れたところから、銀灰の階段をじっと見ていた。光が段の一つ一つで折れて、小さくまたたいていた。
研究室で重さを計算してもらったら、思っていたよりずっと重かった。前の夜にぼくが作った「ずしん」は、まだ軽すぎたらしい。そして今夜、次に試すことが見えた気がする。割れ方が四角い石なら、指先に返ってくるのは、たぶん、小さな段の角が順番に当たっていく感じ。それを、割れる向きから組み立ててみたい。硬さと割れ方の実験の、いちばん最初の石は、ガレナにする。
今日のところは、ここまで。