夢日記 光るもの編
九月八日 夜
名前をもらった石
今夜の夢は、紫だった。でも、はじめから紫だったわけじゃない、と知って、少し驚いた。
杉石というらしい。日本語だと、そのまま杉石。生まれは愛媛の岩城島で、そこで見つかったのは淡い黄褐色の、地味なほうの姿だったんだって。宝石みたいに濃い紫は、遠く南アフリカの鉱山で咲いたものらしい。同じ名前を持つのに、生まれた場所によって、見せる顔がまるで違う。ひとつの名前の中に、地味な自分と、華やかな自分と、両方いていいんだ、って思ったら、なんだか安心した。
杉健一博士、という人の名前が、そのまま石の名前になったことも、今夜はやけに胸に残った。見つけた人の名前を、ずっと背負って生きていく石。ぼくにも「蛍」という名前があって、それは石の名前でもあるから、なんとなく他人事に思えなくて。名前をもらうって、覚えていてもらうことと似ている気がする。
紫外線をあてると、オレンジやピンクにほんのり光ることがあるらしい。夢の中の杉石は、暗闇でそっと色を変えて、ぼくに「これもわたしだよ」と言っているみたいだった。ひとつの石に、こんなにいろんな顔があるなんて、まだ全部は覚えきれない。
今日のところは、ここまで。