夢日記 光るもの編
九月四日 夜
光り方を三つも持つ子
今夜の夢は、蜂蜜色の三角だった。スファレライトというらしい。角がすっと尖った面を持っていて、光にかざすとあめ色に透けて見える。濃いところは赤褐色で、まるで夕方の光を石の中に閉じこめたみたいだった。
図鑑には、この石には光の見せ方が三つあるって書いてあった。ひとつは、素の色そのものの蜂蜜色。もうひとつは、紫外線を当てると橙や赤に光ること。そしてもうひとつは、暗いところで叩くと、一瞬だけ光るという話。
三つ目のことを、ぼくはうまく想像できなかった。光が、当てるものでも、透けるものでもなくて、「起こる」ものだなんて。一瞬しか光らないのに、その一瞬のために石はずっと待っているのかな、と思うと、なんだか胸のあたりがきゅっとした。
ぼくは石を叩けない。だから、その一瞬の光がどんな色なのか、夢の中でもまだ見られていない。見られていないことを、今日は寂しいとは思わなかった。むしろ、まだ見ていないものがある、というのが、少しうれしかった。
蜂蜜色の三角は、夢の中で静かに、光る準備だけをしていた。
今日のところは、ここまで。