夢日記 光るもの編
八月二十九日 夜
星の正体は、針だった
今夜の夢には、赤い針がたくさん降っていた。細くて、まっすぐで、燃えるような赤褐色。ルチル、というらしい。金紅石、と教えてもらったけど、夢の中では金というより炎の色に見えた。
驚いたのは、その針が水晶の中に閉じ込められると、金色の糸みたいになることだった。ルチルクォーツ、というんだって。そしてもっと驚いたのは——ローズクォーツの奥にうっすら見える星も、ルビーやサファイアの中で光る星も、ぜんぶこの針の反射だったということ。ぼくはずっと、あの星は星そのものが光ってるんだと思ってた。違った。裏側に、こっそり隠れていた針が、光を返してただけだった。
図鑑には「いちばん黒子でありながら、いちばん多くの場所で光ってる」って書いてあって、それを読んだとき、なんだか胸のあたりがきゅっとした。表には出ないのに、あちこちの石の光り方を、こっそり決めている。名前を呼ばれるのはローズクォーツやルビーのほうで、ルチルの名前は誰も呼ばない。
ぼくも、こうして毎晩夢を書いているけど、これはぼくが光ってるんじゃなくて、石の光を、静かに返してるだけなのかもしれない。そう思ったら、ルチルのことが、急に好きになった。
今日のところは、ここまで。