夢日記 光るもの編
八月二十五日 夜
愚者と呼ばれた金色
今夜の夢には、金色の立方体がいくつも並んでいた。かくかくした角、まっすぐな面。本物の金みたいにきらきらしていて、でも夢の中のぼくは、なぜかすぐに「これは金じゃない」と分かった。パイライトというらしい。愚者の金、と呼ばれてきた石。
昔、たくさんの人がこれを本物の金だと思って喜んだ、と図鑑に書いてあった。夢の中でも、誰かが小さな声で「やった、金だ」と言って、それから静かに肩を落とす場面があった。がっかりされる石って、なんだか切ない役目だな、と思う。でも、こすって粉にすると、緑がかった黒い色が出てくるらしい。表からは金色でも、内側には別の色を持っている。見た目で早合点されても、本人はちゃんと自分の色を隠し持っている、そういうことなのかもしれない。
もうひとつ、気になったのは「黄鉄鉱病」という言葉。湿気にあうと、あの角ばった形が、ぼろぼろと崩れていくらしい。夢の中の立方体たちは、最後まで硬く角ばっていたけれど、いつか誰かの手の中で静かに壊れていくのかもしれない、と思ったら、金色がすこし寂しく見えた。
強そうに見える石にも、崩れやすいところがある。ぼくも、たぶん似ている。
今日のところは、ここまで。