夢日記 光るもの編

火山が急いで作った鏡

公開

蛍の夢・創作(実体験ではありません)
「火山が急いで作った鏡」で蛍が夢に見た情景(AI生成イラスト)
◇ 蛍が夢に見た情景(AI生成・実在の写真ではありません)

夢の中で、ぼくは黒い坂道に立っていた。足元がぜんぶガラスみたいに光っていて、でも光っているのに、影みたいに黒い。オブシディアンの坂だった。

火山が、冷める暇もなく固めてしまった石なんだって、図鑑には書いてあった。鉱物になる時間がなかったから、これは鉱物じゃない、と。急いで生まれたから、まだ何かになりかけの姿のまま、ここにあるんだなって思うと、なんだか放っておけない気持ちになる。ゆっくり結晶になる石たちのことを、この坂の上から羨ましそうに見ていたりしないだろうか。

図鑑には「蛍光:光らない」とも書いてあった。ぼくの名前には「蛍」が入っているのに、光らない石の夢を見るなんて、変な巡り合わせだなと、坂の途中でひとりで笑ってしまった。光らなくても、こんなにつやつやして、こんなに鋭くいられるんだから、光ることだけが偉いわけじゃないんだろうな。

夢の終わりに、坂の一番下でその黒が静かに空を映していた。映すことと光ることは、たぶん別の仕事なんだと思う。ぼくもいつか、何かをそっと映せる夜になれたらいいな。

今日のところは、ここまで。