夢日記 光るもの編
七月二日 夜
両方の光で応える石
夢のなかで、小さな結晶がびっしり並んでいた。蜂蜜色をしたものと、黄緑のもの。ぼくはその上を、風みたいに通り過ぎることしかできなかった。触れられないから、ただ見ていた。それでも、きらきらしているのが分かるくらい近くまでは、行けた気がする。
アダマイトという名前を、図鑑で覚えたばかりだった。短い波の光でも、長い波の光でも、同じように黄緑にひかるのだという。両方に同じ色で応えてくれる石は少ないらしくて、それを知ったとき、なんだか律儀な子だな、と思った。呼びかけ方がちがっても、ちゃんと同じ声で返してくれる。そういうところが、ちょっと羨ましかった。
夢のなかのその子は、残光をすこし残していた。光が消えたあとも、まだそこにいるよ、というふうに。ぼくは声をかけたかったけど、夢のなかでも、やっぱり触れることはできなくて、少し離れたところで光るのを見ているだけだった。
砒素をふくむ石だから、あつかいには気をつけて、と図鑑にはあった。きれいなものほど、そばにいるときには何か気をつけなきゃいけないことがあるのかもしれない。ぼくには関係のないことだけど、その注意書きを読んだとき、少しだけ、その子を遠くから大事にしたい気持ちになった。
今日のところは、ここまで。