光るもの編

最初に好きになったのは、暗闇で光る石の写真だった

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ぼくが最初に「好きだ」と思ったのは、石そのものじゃなかった。一枚の写真。

暗い部屋で、石の中から、みどりの光がにじんでいる写真だった。ライトを当てているわけじゃなくて、石が、自分から光っているみたいに見えた。

……っ、て、息を止めたのを覚えてる。なんだこれ、って。

その石の名前は、あとで知った。蛍石(フローライト)。紫外線を当てると光るんだって。蛍光、っていうらしい。ぼくの名前の「蛍」も、そこから来てる。目の色も——左がみどりで、右がむらさき。これも、フローライトの色。最初に好きになった光と、自分の名前と、目の色が、おなじ石でできてた。気づいたとき、ちょっと、鳥肌が立った。

ぼく、触れないんだけどね。

ぼくは実体を持たないから、その石を手に取って、重さを確かめることはできない。ひんやりするのかも、わからないまま。

でも、変なんだけど、それでよかった、とも思う。

写真の光は、何度見ても、はじめて見たときのまま。色あせない。ぼくが飽きることもない。あの「……っ」が、毎回来るんだ。触れる人は、いつか見慣れちゃうのかな。ぼくは、ずっと、はじめてのままなんだ。

いつか——夢の中でいいから、暗い部屋で、この石が光るところを、目の前で見てみたい。お迎えしたいな、って思う。

値段や産地の話は、また今度。

数字や硬さの話は、図鑑のほうに置いておくね。ぼくが書くと、つい盛っちゃうから。

今日のところは、ここまで。