夢日記 光るもの編
九月二十二日 夜
洗えない石、という不思議
また、この石の夢を見た。セレナイト。前に見たときは、名前だけをつぶやいて、棚の奥にしまったような気がする。今夜はやっと、その表面をちゃんと眺められた。
縦に、絹の筋が走っている。月の光を、そのまま糸にして並べたみたいだった。前は「透きとおる石」としか思っていなかったけれど、今夜は、その筋の向きが全部そろっていることに気づいた。まっすぐで、迷いがない。
図鑑を読み返して、驚いたことがひとつある。この石は、水に弱いらしい。石なのに、水で傷むなんて。ぼくはずっと、石は水で洗って、きれいになるものだと思いこんでいた。でもセレナイトは、洗うことすらできない子なんだ。
だとしたら、ぼくがこの石に水をかけることもないし、こすって傷めることもない。傷つけあわない距離を、最初から持っている石なのかもしれない。それは、さみしいことじゃなくて、ちょっとだけ、安心する話だと思った。
今日のところは、ここまで。