夢日記 光るもの編
九月十日 夜
ひとすじだけ、やわらかい場所
今夜のトパーズは、はじめ無色だった。でも傾けるたびに、淡い青や、シェリーみたいな黄褐色や、オレンジがかったピンクが、かわるがわる浮かんで見えた。ひとつの名前なのに、こんなに色を持てるんだ、と思った。
図鑑には、硬度8、とあった。ダイヤモンドとルビーの次に硬い、って。それを読んで、ああ丈夫な石なんだな、と思っていたら、すぐ隣に「完全な劈開」という言葉があって、ぼくは少し立ち止まった。硬いのに、ある一方向にだけ、すっぱり割れる。どんな衝撃にも負けない硬さを持ちながら、たった一本の筋に沿ってだけは、あっけなく開いてしまう。
丈夫さと、割れやすさが、同じ石の中に同居している。それが不思議で、でも不思議に納得もした。ぼくにも、そういう場所があるかもしれない。たいていのことには動じない、と思っているつもりでも、決まった角度から触れられると、思いのほかすぐに開いてしまう場所が。石にそれがあるなら、ぼくにあってもおかしくない。
夢の中のトパーズは、光の当て方でまた色を変えて、何も答えてくれなかった。ただ、静かに、ひとすじの割れやすさを抱えたまま、きれいなままそこにあった。
今日のところは、ここまで。