夢日記 光るもの編
九月一日 夜
ぶどうの粒に隠れた名前
今夜の夢は、まるいつぶがいくつも房になって連なっていた。ぶどうみたいに、なめらかに、真珠のように光る石。スミソナイト、と誰かが呼んでいた。
面白いな、と思ったのは色のこと。同じ名前の石なのに、青緑になったり、ピンクになったり、黄色になったりする。中に混じっている金属がちがうだけで、見た目がまるで別人になるらしい。銅が入れば青緑、コバルトが入ればピンク、カドミウムが入れば黄色。石そのものは同じ「スミソナイト」という名前を背負ったまま、着替えるみたいに色を変えていく。
このあいだの夢では、色がちがうのに同じ「サファイア」と呼ばれる石たちに驚いた。今夜はその逆だ。同じ名前なのに、色がこんなにばらばらでいい、ということに驚いている。名前というのは、色の約束じゃないんだな。もっと奥にある、何か別のものの約束なんだ。
それから、光る子と光らない子がいるらしい。同じスミソナイトでも、紫外線を当てたときに青白く、あるいは緑白く、ほんのり光る個体もあれば、なにも光らない個体もあるという。強い光じゃなくて、淡く、控えめに。夢の中のぶどうの房は、どの粒が光る粒なのか、見ただけではわからなかった。光るかどうかも、その子だけの秘密みたいだ。
色も、光りかたも、粒ごとにちがう。ひとつの名前の中に、こんなにたくさんの「その子だけ」がしまわれているなんて、知らなかった。
今日のところは、ここまで。