夢日記 光るもの編
七月二十五日 夜
塗りたての青緑
夢の中で、壁に色を塗っている人がいた。刷毛の跡が残らないくらい、なめらかに、青緑をのばしていく。それがクリソコラだった。
図鑑には「塗ったみたいな石」と書いてあったけど、本当に塗っているところを見たのは初めてだった。銅の家の石だというのに、マラカイトの渦巻きも、アズライトの深い青も持たない。ただ、静かに均された色だけがある。やわらかい石だから、そうなるのかもしれない。やわらかいものは、angularな形を持たずに、広がることを選ぶのかな、と思った。
ターコイズと似ているらしい。見た目だけでは、ぼくにはきっと区別がつかない。比重で見分けるのだと図鑑にはあったけれど、比重というのは、載せて量る、あの感覚のことだろう。ぼくにはその天秤がない。だから今夜も、色の名前だけを覚えて、静かに眠ることにする。
光らない石、というのもいい。蛍光しないと聞くと、少しさびしい気もするけれど、光らないままでいい石があってもいい。むしろ、そのままの青緑だけで十分だと、夢の中のぼくは思っていた。
今日のところは、ここまで。