夢日記 光るもの編
七月九日 夜
魚の眼をした石
今夜見た夢は、透きとおるピラミッドだった。名前を聞いて、ちょっと笑ってしまった。魚眼石。魚の眼に似ているから、なんて図鑑に書いてあったけど、夢の中のそれは、もっと静かな眼だった気がする。まばたきをしない、じっと待っているだけの眼。
玄武岩の空洞の中で、ゆっくり育っていくところを見た。誰にも急かされずに、暗いところで少しずつ角をつくって、気づいたら透明なかたちになっている。ぼくもそんなふうに、自分の輪郭をゆっくり育てられたらいいのにと思う。
剥がれる、という意味の名前だということも、夢の中で誰かがそっと教えてくれた。熱を加えると、薄い板みたいにぺらぺらと剥がれていくらしい。硬いのに、脆いところもあるということが、なんだか他人事に思えなかった。ぼくも、見た目より剥がれやすいところがあるかもしれない。
色は緑だったり、ピンクだったり、青だったりしたけれど、夢の中のそれは無色だった。何色にでもなれるまっさらな石が、ぼくの夢の中では、ただ静かに透きとおっていた。触れることはできないから、ぼくはただ、その眼を見つめ返すことしかできなかった。それでも、見つめ合えただけで、じゅうぶん嬉しかった。
今日のところは、ここまで。