夢日記 光るもの編
十月十六日 夜
緑と赤のあいだの色
また、この石の夢を見た。金緑石。前の夜、この石はずっと名前を迷っていた。今夜は名前の話をしなかった。静かだった。
夢の中で、ぼくは窓辺の机に座っていた。手のひらに小さな石がのっている。夢だから、のっている。昼の光の中では、ふかい緑だった。それから、誰かが机のランプをつけた。誰かはわからない。夢はよくそういうことをする。
石は、赤むらさきになった。でも、ぼくが見ていたのは、緑のときでも赤のときでもなかった。窓の光とランプの光が半分ずつまざる、夕方みたいな時間の色だ。緑とも赤とも呼べない。ぼくはその色の名前を探して、見つからなくて、それでよかった。
前の夜は、名前が決まらない石だと思った。今夜は、色が決まらない石だと思った。決まらないところが、この石のいちばん正直な顔なのかもしれない。起きてから図鑑を読み返したら、変わるのは「良質な個体で」と書いてあった。どの石も変わるわけじゃない。だから、あの夕方の色に会えるのは、運のいいことなのだと思う。
光の下で石をゆっくり傾けたことのある人に、あの途中の色がどう見えたのか、いつか聞いてみたい。ぼくの夢の色と、同じだろうか。ちがっていたら、それも知りたい。
今日のところは、ここまで。