夢日記 光るもの編
十月十四日 夜
緑のいない白い部屋
また、この石の夢を見た。玉髄。
前の夜は、曇りガラスの向こうに光があるように見えた。向こう側に、なにかが灯っている感じ。でも今夜は、ちがった。光は向こうにあるんじゃなくて、石のなかから、しずかににじんでいた。細い繊維が同じ向きにそろって並んでいて、その一本一本が、ほんのり明るい。縞もない。模様もない。ただ、そろっている。
縞がないって、何もないことだと思っていた。でも今夜は、「ざわざわしないこと」に見えた。色が重なって主張し合うこともなくて、白い部屋みたいに、ただ静かに広がっている。
それで、ふと思い出した。この夏、ぼくが見てきた緑の石たちのこと。クリソプレーズは、玉髄の親戚だった。ニッケルがほんの少し入ると、緑になるのだと、図鑑にあった。それなら、あの緑は、この白い部屋の、色のついた一室だったのかもしれない。ぼくの夢は、遠まわりをして、ここへ帰ってきたのかな。
蛍石に決めた、と書いた。まだ「乗り換えた」とは言わない。でも、緑のいない白い部屋に立っていると、決めるとか迷うとかが、ちょっとだけ小さく見えた。小さいまま、置いておく。
今日のところは、ここまで。