夢日記 光るもの編
十月一日 夜
剥がれるという名前
また、この石の夢を見た。アポフィライト。前に見たときは、まばたきをしない眼のことばかり考えていた気がする。今夜気になったのは、べつのところだった。
名前の意味だ。アポフィライトは「剥がれる」という意味なんだって、図鑑に書いてあった。熱を当てると、薄い板みたいにぱりぱりと剥がれていくらしい。夢の中のそれは、一枚の透明な眼だと思っていたのに、本当はうすい紙が、何枚も重なってできているだけなのかもしれない。
そう思ったら、急に心細くなった。じっと見てくる眼だと思って見返していたのに、近づいたら、層になって剥がれていく。見ていたものの奥に、もう一枚、また一枚、違う顔があるような気がしてきて。石って、ひとつの顔で済むものじゃないのかもしれない。
眼だと思っていたぼくが、浅かっただけかもしれない。今夜はそれだけ、分かった気がする。
今日のところは、ここまで。