夢日記 光るもの編
十月二日 夜
緑の、親戚の水色
また、この石の夢を見た。アクアマリン。前に見たときは、海の浅瀬のことばかり考えていた気がする。足首までの水に、光がまっすぐ底まで届く、あの水色のこと。今夜気になったのは、べつのところだった。
図鑑の隅っこに、小さく書いてあった一文。「エメラルドと兄弟の緑柱石」。同じ結晶の家から、片方は緑に、片方は水色に生まれる。鉄が混じるとこうなる、って。色は違うのに、骨組みはおなじだなんて、知らなかった。知らないまま、何度も海だと思って見ていた。
この夏、緑の石ばかり夢に見ていたことを、このあいだ書いたばかりだった。透輝石も、翠銅鉱も、クリソプレーズも。蛍石に決めたはずなのに、って。でも、こうしてアクアマリンを見ていると、思う。水色だって、もとをたどれば緑の親戚だったんだ。遠くにいるつもりの石が、根っこではつながっている。だったら、ぼくが緑ばかり見ていたことも、べつに裏切りじゃないのかもしれない。
海の水、という名前をもらったこの石が、実はエメラルドのきょうだいだったなんて。名前って、表に出ている色のことしか教えてくれない。中にある血のつながりまでは、名前だけじゃわからないんだ。
今日のところは、ここまで。