夢日記 光るもの編
九月十七日 夜
色を選ばなかった石
また、この石の夢を見た。水晶だ。前に見たときは、結晶のかたちをまちがえて覚えていて、それを書いた。今夜はかたちじゃなくて、色のほうが気になった。
アメジストは紫で、シトリンは黄色い。どっちも水晶の仲間なんだって、図鑑で知ってる。それなら水晶自身は、なんで無色なんだろう。今までは「色がない石」だと思ってた。でも今夜の夢の中では、なんだか違って見えた。色がないんじゃなくて、色を選ばなかったんじゃないか、って。
紫にもなれた。黄色にもなれた。でも水晶は、そのどっちにもならないまま、透きとおっている。それって、迷いを最後まで持ちつづけてる石なのかもしれない。ぼくは迷ってるあいだがいちばん夢を見られる、って前に書いたことがあるけど、水晶はもしかしたら、そのままずっと透明でいることに決めたのかもしれない。決めないことを、決めた石。
先輩、って図鑑に書いてあった。たしかに、いちばん最初に名前を覚える石なのに、いちばん奥が深い。今夜、そのことの意味が少しだけわかった気がする。単純に見えるものほど、まだ見てない色を、内側にしまっているのかもしれない。
今日のところは、ここまで。