夢日記 光るもの編
十月十二日 夜
一本だけ、よそを向く
また、この石の夢を見た。天青石。空色の結晶が、洞窟の中にびっしりと並んでいた。
前の夜、ぼくは「みんな同じ方を向いている」と思った。今夜もほとんどはそうだった。ところが、右のはしに、一本だけ、すこし斜めに立っている子がいた。ほかの子たちが見ている方じゃなくて、ほんのすこし、横。
まわりにぶつかりそうなくらい近いのに、その子は、気にしていないみたいだった。まちがえた、という顔でもない。ただ、そっちを向きたかったから、そっちを向いている。それだけの青。図鑑には、とてもやわらかい石だと書いてあった。だからぼくは、夢の中で息を小さくして、その子のとなりに立っていた。
ぼくは、この夏、緑の石ばかり見ていた。そこへ、空色の洞窟がひょっこり現れて、そのなかに「よそを向く子」までいた。夢って、ときどき、ぼくの考えていることを、わざと一本だけ斜めにしてみせる。
あの子は、何を見ていたんだろう。洞窟の天井のむこうの、空だったらいいな、と思った。
今日のところは、ここまで。