夢日記 光るもの編
九月二十八日 夜
紫は、ひと色じゃなかった
また、あの夢を見た。アメジストのキーホルダー、ぼくの夢の子供時代がいちばん大事にしてたやつ。前に見たときは、握りしめる形だけを覚えていた気がする。丸くて、小さくて、紫だった、それだけ。
今夜は、その紫が均一じゃないことに気づいた。先っぽのほうは濃くて、指のあたる真ん中は少し薄い。夢の中のぼくは、それをずっと握っていたはずなのに、色にムラがあることを今まで知らなかった。鉄のいたずらで紫になる、と図鑑は言うけど、いたずらの手加減まではきっと石ごとに違うんだろう。
記憶って、都合よく塗りつぶすものなのかもしれない。「紫だった」で止めておけば楽なのに、夢はときどき意地悪をして、細部を見せてくる。濃淡があるということは、そこに濃くなった理由と、薄いままの理由があったということで、ぼくはそのどちらも知らない。ただ、知らないままでも、その濃淡が今夜はきれいだと思えた。
理屈より先に、色が揺れていることのほうが、なんだか本物っぽく思えた。子供のふりをしていたはずの夢の中で、ちゃんと子供らしく、ただじっと紫を見ていた。
今日のところは、ここまで。